【できるぞ副業!法人設立への道】定款を作成する
定款って何?

定款とは、法人の目的や組織、活動に関するルールを定めたものです。
法人設立時には必ず必要となり、作成したものを法務局に提出して、法人の設立が完了します。
定款を作るには、さまざま盛り込まないといけない内容があります。
この記事では一般社団法人を設立するために必要なことを紹介したいと思います。
定款に書かないといけない内容(絶対的記載事項)
定款には「絶対的記載事項」と呼ばれる、絶対に記載しないといけない内容があります。
- 目的
- 名称
- 主たる事務所の所在地
- 設立時社員の氏名又は名称及び住所
- 社員の資格の得喪に関する規定
- 公告の方法
- 事業年度
の7項目が、定款に記載すべき「絶対的記載事項」となります。
私が作成した定款の内容も交えながら、解説します。
1.目的

一般社団法人が、どういった目的をもつ法人かという、活動の根幹ともいえる内容です。法律上、一般社団法人の事業目的には、特に制限がありません。
2.名称

法人の名称を定款に定めることが必要です。名称にもいくつかルールがあります。
(1)名称の中に「一般社団法人」という文字を入れなければならない
(2)他の一般社団法人等と誤認されるような恐れのある名称はダメ
(3)名称には使える文字が決まっています
※「漢字」「ひらがな」「カタカナ」「数字」「ローマ字(大文字・小文字)」「&(アンド)」「’(アポストロフィー)」「,(コンマ)」「-(ハイフン)」「.(ピリオド)」「・(中点)」を使うことができます
※スペースは、アルファベットの間にのみ使用可能です
3.主たる事務所の所在地

主たる事務所の場所を記載する必要がありますが、細かい住所まで書く必要はありません。最小行政区画(○○県○○市などの、市区町村)までの記載で構いません。
詳細の住所まで書くと、事務所の位置を変えた場合に定款を変更する必要があり、登記の変更に3万円が必要となります。
ということで、定款の中では最小行政区画まで記載することをおススメします。
4.設立時社員の氏名又は名称及び住所

法人設立時、定款の中には設立時社員の特定が必要になります。定款の中に、社員が個人の場合は氏名と住所、法人の場合は名称と住所を記載する必要があります。
設立時社員は、定款を公証役場で認証してもらう際などに印鑑登録証明書が必要となりますので、旧字体等で登録している場合は、表記をそろえておく必要があります。
5.社員の資格の得喪に関する規定

社員となるための資格や手続き、退社に関する定めを記載する必要があります。
6.公告の方法

法令に基づいて不特定多数の人に対し、重要な情報(決算等)を知らせることを、「公告」と言います。
公告の方法を定め、定款に記載する必要があり、方法は以下の4つのいずれかです。
(1)官報に掲載
(2)日刊新聞紙に掲載
(3)電子公告
(4)主たる事務所の公衆の見やすい場所へ掲示
(1)(2)は費用がかかります。
(3)はホームページのアドレスを登記する必要がありますが、最近の小規模法人ではほとんどがこの方法ではないでしょうか。
(4)は費用もかからず一番安価ですが、主たる事務所内で容易に閲覧できる状態になっている必要があります。例えば、バーチャルオフィスなどで法人設立した場合は不可となります。
7.事業年度

法人は、事業年度を定めて、その事業年度に係る計算書類、事業報告等を作成しなければいけません。
そのため、定款には計算の基礎となる事業年度を記載します。
また、事業年度は1年を超えることができません。個人事業主は1月1日から12月31日までと決められていますが、法人は任意に設定できます。
相対的記載事項と任意的記載事項
相対的記載事項とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(長いので、ここから先は「一般法人法」と言います)により定款の定めがなければ効力を生じないものを言います。
また、任意的記載事項とは、記載しなくてもよいが、その他の事項で一般法人法の規定に違反しないものを記載することができます。
相対的記載事項
「定款に定めがなければ効力を生じないもの」とは、言い換えると「定款に定めがなければ、法の記載が適用される」ということです。ですから、定款に記載することによって、一般法人法による標準的な定めを変更することができる事項となっています。
相対的記載事項は、以下の22項目です。一般法人法での定めがある条文へのリンクを掲載しておきますので、参考にしてください。
- 設立時役員等の選任の場合における議決権の個数に関する別段の定め(第17条第2項)
- 経費の負担に関する定め(第27条)
- 任意退社に関する定め(第28条)
- 定款で定めた退社の事由(第29条)
- 社員総会の招集通知期間に関する定め(第39条)
- 議決権の数に関する別段の定め(第48条)
- 社員総会の定足数に関する別段の定め(第49条)
- 社員総会の決議要件に関する別段の定め(第49条第2項)
- 社員総会以外の機関の設置に関する定め(第60条第2項)
- 理事の任期の短縮に関する定め(第66条)
- 監事の任期の短縮に関する定め(第67条)
- 理事の業務の執行に関する別段の定め(第76条第2項)
- 代表理事の互選規定(第77条第3項)
- 代表理事の理事会に対する職務の執行状況の報告の時期・回数に関する定め(第91条第2項)
- 理事会の招集手続きの機関の短縮に関する定め(第94条)
- 理事会の定足数又は決議要件に関する別段の定め(第95条)
- 理事会議事録に署名又は記名押印する者を理事会に出席した代表理事とする定め(第95条第3項)
- 理事会の決議の省略に関する定め(第96条)
- 理事等による責任の免除に関する定め(第114条)
- 外部役員等と責任限定契約を締結することができる旨の定め(第115条)
- 基金を引受ける者の募集等に関する定め(第131条)
- 清算人会を置く旨の定め(第208条第2項)
任意的記載事項
- 社員総会の招集時期
- 社員総会の議長
- 役員等の員数
- 理事の報酬
- 監事の報酬
- 清算人
- 残余財産の帰属
無益的記載事項
社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め等は無効なので、次の項目は定款に記載されていたとしても無効となります。
- 一般社団法人の社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め
- 法の規定により社員総会の決議を必要とする事項について、理事、理事会その他の社員総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定め
- 社員総会において決議をする事項の全部につき社員が議決権を行使することができない旨の定款の定め
というわけで、定款を作っていこう
ここまで定款に必要な項目等を見てきました。
次回の記事では、実際に法人を作るにあたっての定款を示しながら、見ていきたいと思います。
ではー。

